格闘技好きのボクシングの話です。
先日、ヘビー級のタイトルマッチが行われました。
日本人になじみが深いのは軽量級です。具志堅用高さんも軽量級のチャンピオンでした。
ミドル級(72.57kg)くらいまでが日本人が活躍できる体重のようです。
しかし昔から、おもしろいボクシングといえばヘビー級です。
ヘビー級の王者ということは、すべての階級の中で、世界で一番強いボクサーということになります。
モハメッド・アリは伝説のチャンピオンですが、1970年代のチャンピオンです。知らない人もいるかもしれません。
その後、スーパースターとなったのは、マイク・タイソンでした。
圧倒的パンチ力と強さで、敵なしのチャンピオンでした。史上最強と今でも言われています。それも1980年代後半です。
歴史的にみて、ヘビー級のチャンピオンは、多くはアメリカ人でした。
しかし、2007年以降アメリカのチャンピオンはいなくなりました。
2000年ごろからは、クリチコ兄弟が長期政権を築きます。
特に、弟のウラジミール・クリチコは2008年から2015年までチャンピオンでした。14回連続防衛しています。
このころは、戦う相手がいない状況でした。
誰も勝てないだろうと言われていたとき、2015年にタイソン・フューリーが判定勝ちを収め、番狂わせがおこったのです。
クリチコとの再戦が組まれましたが、いろいろゴタゴタがあったようで、結局実現せず、その後王座返上となっています。
クリチコの時代はその後終焉となりました。
ヘビー級は混沌としていました。
その中で、2015年にアメリカのデオンティ・ワイルダーがWBCの世界チャンピオンになります。アメリカ人チャンピオンの久しぶりの誕生でおおいに盛り上がりました。7年7か月ぶりの出来事です。
名前のごとくワイルドで豪快すぎるパンチで、KOの山を築きます。
41戦して、40勝無敗で、なんと39KOです。KO率は驚異の97%なのです。話題にならないはずがありません。
もう一人、注目のヘビー級チャンピオンが、イギリスのアンソニー・ジョシュアです。ロンドンオリンピックの金メダリストです。
2016年にIBFの世界チャンピオンになり、2017年クリチコとWBAスーパー王座決定戦を行い、TKO勝ちをおさめ、本物のチャンピオンになりました。
戦績は22戦22勝無敗、21KOです。こちらもすごいKO率です。
マイク・タイソンですら、勝った試合のKO率は88%くらいです。
12月2日にそのデオンティ・ワイルダーと、タイソン・フューリーのヘビー級タイトルマッチが行われました。
フューリーは、あの誰も止められなかったクリチコを破り、3団体統一王座を獲得した人です。
いろいろ問題があって、王座防衛せずに返上・剥奪となっていますが、実力は認めざるを得ません。
戦績も28戦27勝無敗です。
いろいろとは、ざっと調べると、ドーピング違反と、薬物反応と、病(躁うつ病)だったようです。チャンピオンになったあと、試合ができず、引退するとまで発表になりました。3年近くのブランクを経て、今回タイトルマッチまでやってきたのです。
全勝同士であって、人気者のワイルダーと、実力者のフューリーの対戦。
大注目していました。今現在の、ヘビー級のトップ3と思われるうちの二人の対戦なのです。
身長は5㎝フューリーが大きいのですが、この二人、体重差が20kgのようです。
ワイルダーが96kg、フューリーが116kgとのこと。
かなりの体重差に感じます。
WOWOWでは生放送でしたが、録画してひとり深夜に見ました。
試合は、大方の予想どおりの展開だったのかもしれません。
パワーのワイルダーと、テクニックのフューリー。序盤・中盤とワイルダーのパンチはほとんどかわされます。
よけながらジャブをだすフューリーの細かいパンチが、ときおりワイルダーをとらえます。
パンチを大振りしながら前にでるのはワイルダーですが、どちらが押しているのかわからない感じです。
軽いジャブでもヘビー級なので、ワイルダーにも効いてきている感じもしました。
そして、9Rにワイルダーのパンチがあたり、フューリーがダウンします。
しかし、スローでよく見るとこれは後頭部へのパンチがあたったようで、顔面等ではありません。
立ち上がり、しばらくすると回復していました。ダメージはさほどなさそうです。
そのあとのラウンドは、若干フューリーが押し返していた印象です。
11Rあたりは、ワイルダーもふらついてたように感じました。
そして、12R(最終ラウンド)です。
あたり方は完全ではなかったようですが、顔面、テンプルにワイルダーのパンチが入り、フューリーがダウンします。
これは、見ていても決まったと思いました。カウント9でギリギリ立ち上がった時も、まだまだふらついているようでした。
ところが、そこからまたフューリーががんばります。
打ち合って反撃し、またワイルダーの動きが止まりました。
後半は盛り返したのですが、ボクシングの採点では、基本有利なほうが10-9と1点差つけられますが、ダウンがあるとそのラウンドは10-8の採点となります。
よっぽどその後反撃し、相手をダウン寸前まで追い込んだら9-8という採点もありますが、基本10-8なのです。
それがこの試合、2回ありました。その時点で4点差あります。
フューリーが勝つためには、残り8ラウンドで、対なら無理です。
差をつけるとして、10-9が5ラウンド:3ラウンドでも2点差です。6:2でも4点差です。つまり、8ラウンド中の7ラウンド優勢なら勝てるという状況です。
どうみても、序盤は五分五分。中盤まで五分五分くらいの印象でした。フューリーが取って5ラウンドくらいかなと思ってました。
結果は3名の審判が、3様のドローとなりました。
つまり、一人はワイルダー、一人はフューリー、もう一人は引き分けの採点です。
まるで、誰か一人が取りまとめたような結果でした。
両者とも無敗のままです。
いい試合だったので、個人的には引き分けでもいいかなと思ってはいたのですが、まさにそうなったのです。
判定なら、やっぱり2回ダウンを奪ったワイルダーかなとも思ったので、微妙な結果です。まるで操作したかのような感もありますが、ちょうどいい結果なので、文句はないのです。
チャンピオンはワイルダーのまま、引き分け防衛です。
いよいよ、ワイルダーVSジョシュアが実現するんでしょうか。
楽しみです。
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